4. hercules.cnfの設定
HerculesエミュレータにエミュレートさせるCPUアーキテクチャ(S/370, S/390, z/Architectureなど)の種類、(エミュレータに割り当てる)メモリ容量、エミュレートするDASDやネットワークアダプタ等の各種デバイス等の構成情報は、hercules.cnf(名前は変更可能)というファイルに格納されます。Herculesのソースのルートディレクトリにhercules.cnfという名前の雛形がありますので、これに変更を加えます(ファイル名は変更しません)。 変更点はわずかで、
- Herculesエミュレータに割り当てるメモリのサイズを64MBから256MBに変更
- 今回は使用しないメインフレームデバイスを無効化
- 今回使用するデバイス、DASDとCTCI(ネットワークアダプタ、のようなもの)を追加
$ diff hercules.cnf ../hercules-3.06/hercules.cnf 27c27 < MAINSIZE 256 # Main storage size in megabytes --- > MAINSIZE 64 # Main storage size in megabytes 98,102c98,102 < # 0009 3215-C / noprompt < # 000C 3505 ./util/zzsacard.bin < # 000D 3525 punch00d.txt ascii < # 000E 1403 print00e.txt crlf < # 001F 3270 --- > 0009 3215-C / noprompt > 000C 3505 ./util/zzsacard.bin > 000D 3525 punch00d.txt ascii > 000E 1403 print00e.txt crlf > 001F 3270 106,107c106 < 0120 3390 DASD01 < 0420.2 CTCI 192.168.200.1 192.168.200.2 --- > # 0120 3380 mvsv5r.120CTCI(Point-to-Point)の両端のIPアドレスは、本家の"TCP/IP networking with Hercules"で使用されているものをそのまま使用しています。
5. CentOS v4.7 for s390インストールイメージの準備
CentOS v4.7 for s390のインストーラー(これもLinuxを使用しているわけですが)が格納されたインストールイメージをwww.centos.orgのミラーサイトからダウンロードします。インストールイメージは、以下の5つのファイルで構成されています。
- generic.ins
- generic.prm
- initrd.img
- initrd.size
- kernel.img
これで、Herculesエミュレータ上でCentOS v4.7のインストーラーを起動するための部品はすべて揃いました。 今回は herculesユーザーのホームディレクトリに、一つディレクトリ(今回はcentos_v47_s390)を作って、そこにHerculesエミュレータおよびCentOSインストーラーの起動に必要なファイルを入れておくことにします。ディレクトリの中身は以下のようになりました(generic.prm, initrd.img, initrd.size, kernel.imgの4つは、サブディレクトリimages内に置きます)。
$ ls -lR .: total 2782456 -rw-r----- 1 hercules hercules 2846431232 Jan 11 03:08 DASD01 -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 142 Jan 9 23:51 generic.ins -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 5669 Jan 11 03:09 hercules.cnf drwxrwxr-x 2 hercules hercules 4096 Jan 9 23:53 images ./images: total 10780 -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 44 Jan 9 23:52 generic.prm -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 8227210 Jan 9 23:52 initrd.img -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 8 Jan 9 23:52 initrd.size -rw-rw-r-- 1 hercules hercules 2784644 Jan 9 23:52 kernel.img
Herculesエミュレータを起動するには、このディレクトリにcdして、以下を実行します。
$ hercules -f hercules.cnf
Herculesエミュレータが起動すると以下の以下のような画面が表示されます。
また、トンネリングデバイス(/dev/net/tun), DASDが正しくHerculesエミュレータに認識されれば、上の画面の赤枠内のような表示が確認できます。
次回はいよいよCentOSのインストールを行います。
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